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地銀再編加速へ、住宅ローン申込みで注意したいこと
2018年4月11日に金融庁の作業部会である、金融仲介の改善に向けた検討会議の
「地域金融の課題と競争のあり方」が公表され、波紋を広げています。
この白書を読む限り、地銀再編は避けられず、今後急速に再編が進むことが予想されます。
住宅ローン市場においては、メガバンクが収益性重視に舵を切りつつある中、
地銀はマーケットの拡大を求めて変動金利の水準を切り下げています。
今回はこの白書を通して、地銀再編の具体像、
再編された地銀に住宅ローンを申し込んだ場合の注意点などを取り上げます。
前期の銀行決算から見る、地銀の苦境
2018年3月期決算が、5月15日に出揃いました。
それによりますと、MUFG(三菱UFJフィナンシャルグループ)の最終的な利益を示す純利益が9,896億円、
SMFG(三井住友フィナンシャルグループ)が7,343億円、みずほFG(フィナンシャルグループ)が
5765億円と、逆風の中、数千億円の純利益を確保しました。
一方で、地銀の決算は日銀のマイナス金利政策の影響が大きく、上場地銀82行・グループの合計純利益は、
初めて1兆円を割り込んだ模様です。
簡単に言えば、MUFGと上場地銀82行の純利益が、ほぼ同額だったことになります。
参考までに中部地方の地銀決算では、十六銀行(岐阜)が純利益99億円、大垣共立銀行(岐阜)が96億円、
百五銀行(三重)が116億円、名古屋銀行(愛知)が58億円、愛知銀行(愛知)が42億円、
中京銀行(愛知)が30億円となっています。
これら8つの地銀の内、純利益が増えたのは百五銀行のみです。
また、名古屋銀行と十六銀行は、総資金利鞘(資金の運用利回りと調達金利の差)がマイナスになっており、
これは運用すればするほど赤字になることを示しています。
このように、日銀のマイナス金利政策が影響したとは言え、来期も減益を見込む地銀が多いのは、
利回りの高い外国債券で運用しようとして失敗したことや、無理な不動産融資に原因があると言われています。
メガバンクなどは、運用専用の組織がありますが、地銀の多くは専門的な担当者を置かずに
外債投資を行っていた実態が浮き彫りになり、監督機関である金融庁の怒りを買っています。
将来的に存続できる地銀はどれくらいなのか
そんな中、上記の白書では衝撃的な見通しが示されています。2016年3月末のデータを用い、
各都道府県でどの程度の地銀が存続できるか推計したデータです。
それによりますと、2行での競争可能な地域が10地域、
2行での競争は不可能だが1行単独ならば存続可能な地域が13地域、
1行単独になっても不採算の地域が23地域となっています(東京都はモデルによる判定が不可能)。
これを中部地方で見ていくと、愛知県のみが2行での競争可能地域、
その他の岐阜県と三重県は1行単独になっても不採算の地域とされています。
金融庁は、これらの推計をもとに、さらに地銀再編を推し進める方針で、
今年度以降も地銀同士の再編は避けられない情勢です。
経営統合における住宅ローン債権の取扱い
東海地方では、旧・東海銀行を母体とする三菱UFJ銀行の強さが光りますが、
地銀全般での変動金利の水準では、メガバンクを凌駕する所も多く存在しています。
そして、変動金利の需要が高いのもまた事実です。
仮に、借入額や返済期間が短いなどの理由で地銀の変動金利を申し込んだ後、
その地銀が経営統合したとしても、きちんと返済していれば心配することはありません。
新しいグループになることで、むしろ利便性が増すでしょう。
しかし、延滞気味の人は要注意です。特に経営統合では法律上、消滅会社と存続会社に別けられます。
そして存続会社となる銀行では、いわゆる不良債権を引き受けたくないので、
それらの債権は経営統合時に精査されます。
そして、今後不良債権化すると判断された場合は、早期に不良債権買取業者に売却されてしまうのです。
その後は、当然ながら厳しい督促が待っています。
まとめ
ここまで、現在地銀が置かれている状況などを解説して来ました。
経営統合で不利益が生じる訳ではありませんが、変動金利の低さと引き換えに、それなりのリスクもあります。
何より、無理な住宅ローンを組まないことが、鉄則と言えるでしょう。
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10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する
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16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」
17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」
19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」
21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」
22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」
26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」
27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」
28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」
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