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コラム

住宅ローンキーワード:第2回・抵当権連帯債務者と連帯保証人の違い

住宅ローンを組むときに、難しい言葉を解説する住宅ローンキーワード。

今回は、住宅ローンの申込書欄に出てくる、連帯債務者連帯保証人の違いを取り上げます。

両者は、民法でも必ずテーマになる論点ですが、その場ですぐに理解するのは難しいと思います。

予習をしておき、両者のリスクを理解しておきましょう。

契約の様子

 

連帯債務者の概要について

住宅ローンの申込書欄に出てくる連帯債務者は、現在は住宅金融支援機構が提供するフラットなどで、夫婦が収入合算をする場合などに限られます。

夫婦が収入合算をする場合、収入合算後の年収でいくら融資するかを審査する訳ですから、夫婦が共に債務者となってもらわなければ、住宅金融支援機構が思わぬ損失をこうむります。

そこで、夫婦で収入合算をした場合は、年収の多い方を主債務者少ない方を従債務者として、夫婦がお互いに買り入れ限度額まで責任を負うこととしているのです。

なお、主債務者と従債務者に区分していますが、責任の重さは同じなので注意が必要です。

 

例えば、住宅ローンを3,000万円借り入れした場合、債務が2,500万円まで減った段階で主債務者が破産などで返済出来なくなった場合、従債務者は2,500万円全額の返済義務があります。

また逆に、従債務者が同じように返済出来なくなった場合、主債務者は2,500万円全額の返済義務があります。

金融機関にとっては、連帯債務者になってもらうことで、単独債務の時よりもリスクを軽減できる効果があります。

 

ここで、物件の持分割合と金融機関が設定する連帯債務者の登記に関して、念の為に解説しておきます。

物件の持分割合に関しては、例えば総額3,000万円の物件に関して、ご主人が500万円、奥様が500万円の頭金、連帯債務で2,000万円の住宅ローンを組んだ場合、持分割合はご主人1:奥様1となります。

しかし、これはあくまで頭金の割合に応じた持分割合であり、連帯債務は影響しません。

何故なら、連帯債務には持分割合という概念がないからです。

従って、金融機関が設定する抵当権の登記欄には、連帯債務者としてご主人と奥様が登記されますが、持分割合は登記されません。

 

例えば、奥様の年収があまり多くない場合、収入合算のため、無理に連帯債務者になってしまうと、奥様も全ての債務を負担する義務を負うので注意して下さい。

なお、次の連帯保証人にも該当することなので先に書いておきますが、連帯債務者には催告の抗弁権検索の抗弁権、連帯保証人には分別の利益が認められていません。

催告の抗弁権

これは金融機関が主債務者ではなく従債務者に返済を請求してきた場合、通常であれば先に主債務者に請求してくださいと言えるのですが、連帯債務者と連帯保証人はこの請求を拒めません。

 

検索の抗弁権

上記と同じ事例で従債務者に返済を請求してきた場合、先に主債務者の財産を差し押さえるように言えるのですが、これも連帯債務者と連帯保証人には認められていません。

 

分別の利益(連帯保証人のみ認められない)

通常の保証人であれば、頭数に応じた分の債務だけ負担するのですが、連帯保証人はこれが認めれていないため、1人で全ての債務を負担する義務を負います。

 

連帯保証人の概要について

住宅ローンで連帯保証人が登場するのは、ネット銀行でペアローンを申し込んだ場合、親族が担保提供者(民法上は物上保証人と言います)となる場合などに限られます。

まずペアローンの場合ですが、一部のネット記事にあるような、全てが連帯保証人の形態を取るわけではありません。

メガバンクなどでは、保証会社を利用しているため、夫婦それぞれが別々の住宅ローン契約を行うペアローンに関しては、それぞれに保証会社の保証が付きます。

一方で、ネット銀行は保証会社を利用しない直貸の形態を取っているため、お互いを連帯保証人とさせることで、リスク管理を強化しているのです。

また、親族が担保提供者となる事例とは、例えば土地の担保提供者に親族がなり、そこに子供などが住宅ローンを使い自宅を新築する場合を言います。

通常ですと、土地と建物に抵当権を設定するのですが、名義が違うため、土地に抵当権を設定しない代わりに、親族が連帯保証人となります。

なお、親族や友人の連帯保証人になった後、親族や友人が返済出来なくなった場合、残債務全額の返済義務を負うのが連帯保証人です。

従って、親族が担保提供者となり、連帯保証人にもなった場合は、絶対に迷惑をかけないようにしなければなりません。

土地代が浮いたからといって、自宅にお金をかけ、多額の住宅ローンを組むのは本末転倒と言って良いでしょう。

 

まとめ

ここまで、住宅ローンを組むのに必要な範囲で、連帯債務者と連帯保証人について解説してきました。

連帯債務者と連帯保証人は、どちらも法律的に保護が弱く、思わぬリスクを抱えることも想定されます。

今回の解説を参考に、リスクを理解した上で、連帯債務者と連帯保証人に向き合って頂けたらと思います。

 

 

 

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