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転勤や借り換えした時の住宅ローン控除の再適用について
まず原則論として、転勤にしろ、借り換えにしろ、それで住宅ローン控除の要件を満たさなくなれば、住宅ローン控除はそこで打ち切りになります。
しかし、住宅ローン控除が普及するにつれて、打ち切りに対する苦情が多くなりました。
そこで国税庁は、2003年4月以降から一定の要件を満たした場合に限り、住宅ローン控除の再適用を認める取り扱いに変更しました。
従って、国税庁内部には、住宅ローン控除の再適用に関して厳しい見方があり、適切な書類提出や正しい計算方法をしないと、年末調整の担当部署などが指導を受けることもあり、注意が必要です。
目次
転勤の場合の具体的な提出書類
ではまず、転勤の場合を見ていくことにしましょう。
転勤の場合でも、ご主人だけが赴任する単身赴任と、ご家族で赴任する引っ越しがあります。
ここでの取り扱いは以下のようになります。
単身赴任の場合
本来であれば、所有者が居住していない訳ですから、単身赴任期間中、住宅ローン控除は受けられないはずです。
しかし、家族がそのまま居住している間は、所有者もそのまま住んでいるものとみなして、特段の手続きなく、住宅ローン控除が受けられます。
家族で引っ越しの場合
家族で赴任先に引っ越した場合は、赴任先にいる間は住宅ローン控除は受けられません。
しかし、赴任終了後に自宅で再び生活を始めたとしても、自動的に住宅ローン控除の再適用が受けられる訳ではありません。
赴任前と赴任終了後に、以下の書類を税務署に提出する必要があります。
赴任前に提出すべき書類
- 「転任の命令等により居住しないこととなる旨の届出書」
- 税務署長から「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」及び「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」の交付を受けている場合には、その未使用分の証明書及び申告書
赴任終了後に提出すべき書類
- 住宅借入金等特別控除の計算に関する明細書(「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(再び居住の用に供した人用)」)
- 金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」
なお、通常は住宅ローン控除の確定申告は初回のみで、次回以降は税務署の証明書を付ければ会社の年末調整で対応してくれますが、赴任終了後は途中であっても再度確定申告が必要になります。
借り換えを行った場合は計算方法に注意
転勤以外に注意が必要な事例が、住宅ローンの借り換えです。
借り換えも、住宅ローン控除の対象となる住宅ローンが完済になったのだから、新しい住宅ローンは住宅ローン控除の対象外というスタンスでしたが、転勤の事例にならい変更されました。
まず、以下の要件を満たしていることが大前提となります。
- 新しい住宅ローン等が当初の住宅ローン等の返済のためのものであることが明らかであること
- 新しい住宅ローン等が10年以上の償還期間であることなど住宅借入金等特別控除の対象となる要件に当てはまること
なお、借り換えを行っても、住宅ローン控除の期間が延びる訳ではありません。
当初の住宅ローン控除期間から10年で終了になることは、理解しておきましょう。
そして最も大切なのは、借り換えにより住宅ローンの融資残高が増えた場合の計算方法です。
最近の借り換えは、残額に融資金額を合致させることを基本としつつも、諸費用などの追加融資で、借り換え額が前の住宅ローンの残額を上回る事例が多くなりました。
この場合、上回った新しい住宅ローン部分は住宅ローン控除の対象外になります。
この辺りの事例が周知徹底されていないとして、国税庁が目を光らせているので、これから具体的に解説していきます。
借り換えにより住宅ローンの融資残高が増えた時の住宅ローン減税の計算方法
まず大前提として、借り換え後の年末残高を2,000万円としておきます。
借り換え直前の住宅ローン残高 2,500万円、借り換え後の住宅ローン残高 2,200万円:この場合、借り換え後の住宅ローン残高の方が少ないので、上記の2,000万円全額が認められます
借り換え直前の住宅ローン残高 2,500万円、借り換え後の住宅ローン残高 2,800万円:この場合、借り換え後の住宅ローン残高が300万円上回っているので、300万円を対象外にするため、以下のような按分計算が必要になります。
2,000万円(年末残高)×2,500万円(借り換え前残高)÷2,800万円(借り換え後残高)=2,000万円×0.89=1,780万円 対象額は1,780万円となります。
そして、借り換え後の住宅ローン残高が多い人は、この按分計算を住宅ローン控除が終了するまで行う必要があります。
まとめ
このように、転勤にしろ、借り換えにしろ、住宅ローン控除の再適用は可能ですが、それには一定のルールが課せられています。
面倒に感じるかもしれませんが、税務署からのお尋ねが来ないためにも、しっかり対応しましょう。
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