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コラム

三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点

三井住友信託銀行は、住宅ローンに力を入れている唯一の信託銀行として有名です。

そして、住友信託銀行の時代から、「自動返済」という面白い制度が存在します。

ただし、「自動返済」の利用には注意点も存在します。今回は、三井住友信託銀行の「自動返済」について解説します。

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三井住友信託銀行が住宅ローンに力を入れる理由

まず解説しますが、三井住友HD傘下の三井住友信託銀行と三井住友FG傘下の三井住友銀行とは何の資本関係もありません。

同じ三井住友と付くので、三井住友銀行のATMに三井住友信託銀行の通帳を入れて、動かないとトラブルになることもあるようです。

 

本来であれば、三菱UFJFGのように、傘下の三菱UFJ信託銀行をグループ入りさせ、一体経営していくのがガバナンス的にも正しいのですが、三井住友FGはこれが出来ませんでした。

理由は簡単で、三井住友信託銀行の天皇と言われた常陰社長のワンマン体制が、これを拒み続けたのです(信託銀行は社長、銀行は頭取と言います)。

 

しかし、金融庁の検査による指摘で、ガバナンスの脆弱性と信託業務をおろそかにしているのではないかとの指摘を受け、昨年4月に9年もトップに君臨し続けた常陰社長は退任しました。

住宅ローンに力を入れているのは、規模で三井住友銀行に負けたくないという理由だけで、このようなワンマンがまかり通るはずがありません。

ただ厄介なのは、現在も共同の取締役会長として君臨し続けている点です。

恐らく、この状態では住宅ローンに力を入れざるを得ず、再度金融庁の検査による指摘が入る可能性もあります。

 

「自動返済」は便利な制度だが、繰上返済方式に注意

 

ようやくですが、三井住友信託銀行の住宅ローンの解説に入ります。

当然ながら、規模の利益を最優先しているため、金利引き下げ競争の先頭を走ってきました。

優良個人であれば、実際の適用金利はかなり優遇されますし、他行と競合するとかなり頑張って金利を引き下げてくれます。

 

そして、住友信託銀行の時代から独自のサービスとして、「自動返済」というものがあります。

これは、毎月の返済日当日に毎月の返済額を引き落とした後、予め指定しておいた金額よりも実際の残高が多い場合、自動的に繰上返済してくれるというものです。

 

ただし、上限金額は100万円で、繰上返済方式は返済額変更方式、すなわち期間短縮型ではなく、返済額軽減型です。

繰上返済には、返済額を変更せず返済期間を短縮する期間短縮型と、返済額を変更し毎月の返済額を減らす返済額軽減型がありますが、後者になります。

 

ここで注意しなければならないのは、「自動返済」には返済額軽減型しか設定されておらず、期間短縮型は選択できない事です。

「返済額変更方式なので、繰上返済したメリットが実感できます」とHPにはありますが、これは上手い宣伝文句です。

「自動返済」で毎月繰上返済するほどの余裕があるのであれば、利息軽減効果が大きい期間短縮型で繰上返済した方が債務者にとっては有利なのですが、そうなると三井住友信託銀行にとって不利であるため、期間短縮型は選択出来ないようになっているものと考えられます。

 

従って、繰上返済する余裕があるのであれば、下手に「自動返済」を利用せず、自ら期間短縮型の繰上返済をすべきです。

ちなみに、期間短縮型の繰上返済は「自由返済」と呼ばれ、インターネットであれば手数料無料です。

 

三井住友信託銀行が三井住友FG入りした時の注意点

 

このように金利は低いものの、債務者目線での対応に不満が残る三井住友信託銀行ですが、三井住友FG入りを延期したために自分自身が不利な立場に置かれてしまいました。

ご存知のように、日銀のマイナス金利政策により金融機関は軒並み収益が悪化、これは三井住友信託銀行も同様です。

業界ではいずれ三井住友FG入りすると言われていますが、三井住友FGが業を煮やして自らシティバンクの日本法人を買収、SMBC信託銀行を設立しました。

従って、三井住友FGの傘下に入るにしてもSMBC信託銀行との合併という形になり、単独での生き残りは難しくなります。

 

注意したいのは、返済が遅れている債務者です。

最終的に吸収合併となった場合、不良債権は引き離す必要があるので、督促などが厳しくなります。

現在、三井住友信託銀行で返済が遅れている債務者は、今後の動向に注意し、任意売却など、早めの対応を取ることも必要です。

 

 

住宅ローンについてのコラム一覧

【目次:住宅ローンコラム】

1:安心できる住宅ローンの借入限度額はどれくらいなのか

2:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(上編)

3:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(中編)

4:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(下編)

5:住宅ローンの流れを、マンションと注文住宅で比較してみる

6:住宅ローンを組んだら生活保障の見直しをしましょう!

7:住宅ローン控除を最大限活用する(前編)

8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)

9:一部繰上返済制度を活用して総返済額を減らす

10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する

11:最初のローンが肝心、借り換えをお勧めできない理由

12:住宅ローンの返済が苦しくなったら迷わず相談

13:個人信用情報機関を正しく理解しましょう

14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」

15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」

16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」

17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」

18:「住宅ローンの新規では変動と固定どちらが多いのか」

19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」

20:「親の贈与を受ける場合のメリットとデメリット」

21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」

22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」

23:「住宅ローン審査もアプリの時代へ」

24:「ネット銀行の審査が一般的な銀行と違う理由」

25:「ライフプランに合わせられる、新生銀行の住宅ローン」

26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」

27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」

28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」

29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」

30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」

31:「銀行が勧める、短期固定金利の住宅ローンの危険性」

32:「イオンをよく利用する人はイオン銀行が便利でお得?」

33:「ゆうちょ銀行の住宅ローン利用には注意が必要」

34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」

35:「ライフプランに合わせた住宅ローンの返済額の作り方」

36:「住宅ローンを抱えて離婚したらどうすればいい?」

37:「住宅ローンを組む事が不安な方にオススメの制度」

38:「被災された方は災害復興融資の利用を(前編)」

39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」

40:「預金連動型住宅ローンの注意点(前編)」

41:「預金連動型住宅ローンの注意点(後編)」

42:「3月の住宅ローン金利、長期固定金利が軒並み低下」

43:「住宅ローンを組む時に、安易な収入合算には要注意」

44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」

45: 「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」

46:「フラットの買取型と保証型の違い、何がどう違うのか」

47:「フラットが9割超融資で金利を引き上げた意味」

48:「三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点」←今回のコラム

49:「余分なカード信用枠は住宅ローン審査にデメリット」

50:「住宅ローン利用者の裾野を広げた「全国保証」とは?」

51:「財務省信頼失墜!増税延期と住宅ローン金利の深い関係」

52:「50年型住宅ローンのメリット・デメリット」

53:「あなどれない、JAバンクの住宅ローン」

54:「住宅ローンの返済には、ボーナス併用払いを利用すべきか」

55:「世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン」

56:「2018年4月の住宅ローン金利は低下予想」

57:「フラット35利用者への借り換えを勧誘することは禁止されています」

58:「女性専用住宅ローンを最大限活用しましょう」

59:「職業の特性によって、住宅ローンの選び方を決める方法」

60:「転勤や借り換えした時の住宅ローン控除の再適用について」

61:「2018年4月の住宅ローン金利と5月の見通し」

62:「フラットの団体信用生命保険と民間の生命保険、どちらがお得?」

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