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コラム

住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由

これは昔からある問題なのですが、資金使途自由な事業性ローンの金利が高いため、住宅ローンを利用して住宅を購入し、それをすぐに第三者に賃貸して不労所得を得ようと考える人達がいます。

考え方自体はそれほど難しくはないのですが、この人達は住宅ローンと住宅の関係を甘く見すぎており、悪質な事案に関しては警察に詐欺罪で立件されます。

何故そこに至るのか、考えてみたいと思います。

 

住宅

住宅ローンが他のローンと比べて低金利な理由

 

住宅ローンと資金使途自由な事業性ローンを比べた時、現在でも住宅ローンが0〜1%台なのに対し、事業性ローンは7〜10%台です。

また、借入れ金額も数千万単位と大きくなるため、総返済額の差で見ると3〜5倍程度は違います。

既に住宅を所有し、不労所得を得ようと考えた時、当初から第三者賃貸する目的でも、事業性ローンで住宅を購入していては返済に追われ、むしろ借金が膨らむだけです。

こうした理由から、住宅ローンに転用しようとする人達が現れます。

では逆に住宅ローンは何故、ここまで低金利でお金を貸してくれるのでしょうか。

これは、住宅ローンを専門に扱う政府機関である住宅金融支援機構が存在しているように、住宅とはただ不労所得の対価として存在している訳ではなく、人々が健康で文化的な生活を送るための礎であるからです。

故に、出来るだけ住宅を取得しやすくするために、政府機関の住宅金融支援機構が低金利を提供することで、他の民間金融機関にも同程度の金利で提供するように良くも悪くも圧力をかけているのです

ただ、これは日本に限った政策ではなく、多くの先進国には住宅金融支援機構と同じ役割を担う政府機関が存在します。

 

住宅ローンでの第三者賃貸は固く禁止されています

 

上記のような理念で提供されている住宅ローンは、当然ながら住宅を取得する人々が住むためのものです。

これは住宅ローンを借りるときに交わす、金銭消費貸借契約書(金消)にもはっきり書かれており、万が一にも勝手に第三者賃貸した場合はすぐに残債を全額返済しなければなりません。(金融機関側が延滞解消のためやむを得ないと認めた場合を除く)

 

不思議と第三者賃貸がばれてしまう理由

 

「ばれなければ大丈夫」と安易な気持ちで、住宅ローンを悪用する人達がいるのも事実です。

ただ、これが不思議とほぼ100%バレます。

1番多いのが金融機関に対するタレコミです。

第三者賃貸している人も後ろめたい気持ちがあるのか、なかなかうまくその街に溶け込めなかったり、その街にそぐわない雰囲気の人が多いです。

また、金融機関側でも定期的に本人が住んでいるかの調査をしており、これでバレることもあります。

 

また、金融機関の担当者は第三者賃貸が早期に発生した場合、それはその金融機関の審査ミスとなるため、既に契約段階から不自然な言動の顧客はマークされ、融資後の調査も厳しくなります。

何か後ろめたい気持ちがある人は、金融機関の担当者が見ればわかってしまうものです。

金融機関を騙そうとしても、それほど甘くはありません。

 

第三者賃貸は犯罪者になる覚悟が必要です

 

第三者賃貸が発覚した場合、金融機関はまずどの程度悪質なのかを調査します。

例えば、当初は本人が自宅に住んでいたけれども、延滞気味になりやむを得ず自分達は安い賃貸に引っ越し、第三者賃貸することで何とか延滞を解消したかった。

この場合、延滞の原因がやむを得ない理由であれば、情状酌量の余地ありとして、それほど重いペナルティーは課さないことも考えられます。

 

しかし、当初から第三者賃貸する目的で住宅ローンを借り、実際に第三者賃貸で不労所得を得ていた場合、刑法的には詐欺罪の構成要件を充足することになり、金融機関に刑事告訴されることになります。

住宅ローンが悪用された時のニュースは、これを組織的に行っていた場合などで、反社会的勢力に近い人物が指揮している場合が多いです。

 

転勤の場合

 

最初から賃貸に出すつもりでなくても、やむを得ず賃貸に出す必要が出て来る可能性もあります。

転勤がそれに当たると思います。

 

転勤の場合は、現在借りている金融機関に会社の辞令などを添付して「転勤届け」を出すことで、特例的に賃貸が認められています。

ただし、これも先に出してから、賃貸に出すか、空き家にするかを考えます。

1度賃貸に出すと、借り主の権利が強くなるので、期限を区切った定期借家などを勧められると思います。

なお、この期間は自分達が住んでいないので住宅ローン控除は認められません。

 

まとめ

 

ここまでの文章を読んで厳しく感じたかもしれませんが、金融機関の担当者はそれぐらいの気持ちで本人が居住するのか見ています。

この文章を読んで、第三者賃貸を考えていた人がそれを止めてくれることを願います。

 

 

住宅ローン関連のコラム一覧

 

【目次:住宅ローンコラム】

1:安心できる住宅ローンの借入限度額はどれくらいなのか

2:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(上編)

3:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(中編)

4:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(下編)

5:住宅ローンの流れを、マンションと注文住宅で比較してみる

6:住宅ローンを組んだら生活保障の見直しをしましょう!

7:住宅ローン控除を最大限活用する(前編)

8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)

9:一部繰上返済制度を活用して総返済額を減らす

10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する

11:最初のローンが肝心、借り換えをお勧めできない理由

12:住宅ローンの返済が苦しくなったら迷わず相談

13:個人信用情報機関を正しく理解しましょう

14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」

15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」

16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」

17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」

18:「住宅ローンの新規では変動と固定どちらが多いのか」

19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」←今回のコラム

20:「親の贈与を受ける場合のメリットとデメリット」

21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」

22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」

23:「住宅ローン審査もアプリの時代へ」

24:「ネット銀行の審査が一般的な銀行と違う理由」

25:「ライフプランに合わせられる、新生銀行の住宅ローン」

26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」

27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」

28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」

29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」

30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」

31:「銀行が勧める、短期固定金利の住宅ローンの危険性」

32:「イオンをよく利用する人はイオン銀行が便利でお得?」

33:「ゆうちょ銀行の住宅ローン利用には注意が必要」

34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」

35:「ライフプランに合わせた住宅ローンの返済額の作り方」

36:「住宅ローンを抱えて離婚したらどうすればいい?」

37:「住宅ローンを組む事が不安な方にオススメの制度」

38:「被災された方は災害復興融資の利用を(前編)」

39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」

40:「預金連動型住宅ローンの注意点(前編)」

41:「預金連動型住宅ローンの注意点(後編)」

42:「3月の住宅ローン金利、長期固定金利が軒並み低下」

43:「住宅ローンを組む時に、安易な収入合算には要注意」

44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」

45: 「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」

46:「フラットの買取型と保証型の違い、何がどう違うのか」

47:「フラットが9割超融資で金利を引き上げた意味」

48:「三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点」

49:「余分なカード信用枠は住宅ローン審査にデメリット」

50:「住宅ローン利用者の裾野を広げた「全国保証」とは?」

51:「財務省信頼失墜!増税延期と住宅ローン金利の深い関係」

52:「50年型住宅ローンのメリット・デメリット」

53:「あなどれない、JAバンクの住宅ローン」

54:「住宅ローンの返済には、ボーナス併用払いを利用すべきか」

55:「世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン」

56:「2018年4月の住宅ローン金利は低下予想」

57:「フラット35利用者への借り換えを勧誘することは禁止されています」

58:「女性専用住宅ローンを最大限活用しましょう」

59:「職業の特性によって、住宅ローンの選び方を決める方法」

60:「転勤や借り換えした時の住宅ローン控除の再適用について」

61:「2018年4月の住宅ローン金利と5月の見通し」

62:「フラットの団体信用生命保険と民間の生命保険、どちらがお得?」

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