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コラム

ゆうちょ銀行の住宅ローンを利用する時に気をつけたいこと

ゆうちょ銀行が住宅ローン市場に参入したことは、ニュースなどでも報道されたのでご存知の方も多いと思います。しかし、実際には窓口になっているだけであり、融資するのは提携している地銀のスルガ銀行です。
このため、ゆうちょ銀行の住宅ローンでもスルガ銀行の戦略が色濃く反映されており、他行とはかなり趣が違います。今回はゆうちょ銀行の住宅ローンの実態を解説します。

 

ゆうちょ銀行

スタンスは幅広い顧客を受入れること

ゆうちょ銀行はかんぽ生命とともに日本郵政の子会社です。それ故に、3社は上場しているとはいうものの、ゆうちょ銀行が住宅ローンを直接手がけた場合、過去の住宅金融公庫のように民業圧迫批判が起こる可能性があります。

そこで、ゆうちょ銀行が幅広い支店網を活かして住宅ローンの受付窓口になるものの、実際の審査や融資は提携しているスルガ銀行が行うことで、民業圧迫批判をかわす狙いがありました。実際に融資を行わなければ、民業圧迫とは言えないからです。

こうして、ゆうちょ銀行が窓口となり、実際の実務はスルガ銀行が行う形で、ゆうちょ銀行の住宅ローンはスタートしました。ゆうちょ銀行の住宅ローンで特徴的なのは、攻める地銀と言われるスルガ銀行の特長がかなり反映されていることです。

ゆうちょ銀行が窓口になっているので、大企業や公務員などのいわゆる優良個人しか受け付けないというイメージもありますが、ここはスルガ銀行の意向が反映されているのか、通常の住宅ローンでは審査落ちしてしまうような人でも融資してくれることがあります。

これは、ゆうちょ銀行という半官半民的な機関が、一部の優良個人しか融資しないのは不公平という考え方に基づいているとも考えられますが、他行で審査落ちした人にまで融資する必要があるのかは、意見が別れる所です。

 

かなり高い住宅ローン金利はリスクの結果

ゆうちょ銀行の住宅ローンは、ホームローン「夢舞台」という大枠の中から、基本プラン、個人事業主応援型、働く女性応援型㈵㈼、アクティブシニア応援型など、12種類あります。なお、これとは別にフラット35とフラット35のつなぎ融資を行う、つなぎ融資応援型があります。フラット35に関しては、最終的に住宅金融支援機構の判断になるため、ここでは取り上げません。

基本プランは通常の住宅ローン融資の条件に近いものですが、個人事業主応援型は最高融資額2億円でオフィス・店舗併用住宅の場合、居宅部分が1/3以上(通常の住宅ローンは1/2以上)で利用できるなど、事業性ローンに近い特長を持っています。

それを表しているのが、融資金利の高さです。フラット35を除いて、例えば基本プランでは変動金利型が年2.475%〜年2.775%、固定金利選択型3年が年2.900%〜年3.200%、固定金利選択型5年が年3.000%〜年3.300%です。また、個人事業主応援型では、変動金利型で年3.575%〜年5.175%とさらに高くなります。(最終的な金利はこの枠内で個々に決定)

ここまで融資金利が高くならざるを得ないのは、上記に記した通り、かなり幅広い人を融資対象としているためですが、通常の住宅ローンの変動金利型が0.5%台であることと比較すると、いわゆる貸し倒れも相当あるのかなという印象です。
ただし、ゆうちょ銀行側もこの金利の高さがネックになっているのは理解しているのか、返済実績を作って数年後に他行に借り換えすればいいですよ、というような宣伝文句を使っているようです。

 

まとめ

そもそも、フラット35にしか、つなぎ融資応援型がないので、注文住宅を視野に入れている人には使いづらいゆうちょ銀行の住宅ローンですが、ケースによっては利用価値もあるでしょう。しかし、この金利ですと返済額が相当多くなるので、しっかりとしたライフプランに基づくことが必要です。

 

 

【目次:住宅ローンコラム】

1:安心できる住宅ローンの借入限度額はどれくらいなのか

2:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(上編)

3:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(中編)

4:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(下編)

5:住宅ローンの流れを、マンションと注文住宅で比較してみる

6:住宅ローンを組んだら生活保障の見直しをしましょう!

7:住宅ローン控除を最大限活用する(前編)

8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)

9:一部繰上返済制度を活用して総返済額を減らす

10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する

11:最初のローンが肝心、借り換えをお勧めできない理由

12:住宅ローンの返済が苦しくなったら迷わず相談

13:個人信用情報機関を正しく理解しましょう

14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」

15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」

16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」

17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」

18:「住宅ローンの新規では変動と固定どちらが多いのか」

19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」

20:「親の贈与を受ける場合のメリットとデメリット」

21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」

22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」

23:「住宅ローン審査もアプリの時代へ」

24:「ネット銀行の審査が一般的な銀行と違う理由」

25:「ライフプランに合わせられる、新生銀行の住宅ローン」

26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」

27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」

28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」

29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」

30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」

31:「銀行が勧める、短期固定金利の住宅ローンの危険性」

32:「イオンをよく利用する人はイオン銀行が便利でお得?」

33:「ゆうちょ銀行の住宅ローン利用には注意が必要」←今回のコラム

34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」

35:「ライフプランに合わせた住宅ローンの返済額の作り方」

36:「住宅ローンを抱えて離婚したらどうすればいい?」

37:「住宅ローンを組む事が不安な方にオススメの制度」

38:「被災された方は災害復興融資の利用を(前編)」

39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」

40:「預金連動型住宅ローンの注意点(前編)」

41:「預金連動型住宅ローンの注意点(後編)」

42:「3月の住宅ローン金利、長期固定金利が軒並み低下」

43:「住宅ローンを組む時に、安易な収入合算には要注意」

44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」

45: 「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」

46:「フラットの買取型と保証型の違い、何がどう違うのか」

47:「フラットが9割超融資で金利を引き上げた意味」

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