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被災された方は災害復興融資の利用を(後編)
前編では、住宅金融支援機構が提供する災害復興融資について、その概要や利用条件、融資可能額について解説しました。現在解説している災害復興融資は、通常のタイプですが、阪神淡路大震災や東日本大震災では、さらに基準が緩和された災害復興融資が実施されたことを付け加えておきます。
そして、災害復興融資で最も配慮されているのが、実際の融資金利です。これは、住宅金融支援機構が政府系金融機関だから出来ることですが、ほぼベースレート(調達金利)に近い金利で融資を行っています。これにより、被災者の方の負担感が少しでも和らぐことを願っているのです。
災害復興融資の実際の融資金利は
まず、災害復興融資の金利は通常のフラット35などとは違い、毎月下旬に改定され、次の改定時期まで適用されます。従って、災害復興融資の金利を確認する時は、必ず災害復興融資と書いたリンクをクリックして、金利を確認して下さい。
2月16日に発表された改定スケジュールでは、適用期間2018年2月20日〜2018年3月18日までに融資を申し込んだ場合の金利は、建設資金と購入資金が全期間固定で、基本融資額が前月と同じ年0.63%、特例加算額も前月と同じ年1.53%となっています。また、補修資金に関しては基本融資額が前月と同じ年0.63%となっています。
ただし、全期間固定金利が年0.63%という水準は、2月の最も多い金利年1.4%の半分以下であり、その低さには驚かされます。シミュレーションとして、年0.63%と年1.4%で比較すると、利息負担がいかに小さいかがおわかり頂けると思います。
前提条件:融資額は建築の場合の基本融資額の合計3,060万円、金利は災害復興融資が年0.63%、フラット35が年1.4%、35年の元利均等返済、毎月返済のみ
災害復興融資の場合、毎月返済額8.2万円、総返済額3,411万円 フラット35の場合、毎月返済額9.3万円、総返済額3,873万円 その差は毎月返済額で1.1万、総返済額で462万円になります。また、災害復興融資にかかる35年間の利息は総額でも351万円です。
なお、この最も多い金利年1.4%を提示しているのは、モーゲージバンクやネット銀行が多く、その場合はほとんどが定率制の融資手数料を徴収しているため、仮に3,000万円の融資を受けた場合、その2.16%(税込)にあたる64万8,000円がかかります。
しかし、災害復興融資では融資手数料、返済方法変更手数料及び繰上返済手数料は必要ありません。従って、実際の諸費用は通常よりもかなり抑えられます。
さらに災害復興融資の特例ですが、東日本大震災で被災された方の金利は、基本融資額が当初5年間は年0.00%、6年目以降10年目までが年0.10%、11年目以降が年0.63%となっています。
まとめ
ここまで、住宅金融支援機構が提供している災害復興融資について解説してきました。被災者の立場からすると、全期間固定金利でこの水準は大変ありがたい所ですが、総返済負担率を算定するときに、従前の住宅ローンを加味しなければならないため、災害復興融資でも不承認になることはあります。
その場合は、従前の住宅ローンを借りている金融機関と積極的に交渉して、利息の減免などの措置を取ることなども必要です。2重ローンの問題を抜本的に解決する方法はありませんが、当初のローン負担がそれほどでなければ、後の災害復興融資も審査が通りやすくなります。
そう考えると色々な意味で、住宅ローンの借入をほどほどの水準に抑えておくことが、何かあったときに対応できる最善策であるように感じます。
【目次:住宅ローンコラム】
10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する
14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」
15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」
16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」
17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」
19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」
21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」
22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」
26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」
27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」
28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」
29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」
30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」
34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」
39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」←今回のコラム
44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」
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