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住宅ローン控除を最大限活用する(後編)
前回までのまとめ
前回までの解説で、住宅ローン控除の制度や効果などはご理解頂けたと思います。しかし、この住宅ローン控除は適用を受けるために様々な条件があり、ここを確実に押えておくことが大切になります。今回のコラムでは、特に住宅購入初心者の人が陥りやすい盲点を解説していきます。
適用条件での盲点
・住民票は必ず年内に新しい住宅に移す
新居の購入や現在住んでいる住宅の売却、賃貸契約の解約、新居でのインテリアや家具・家電の購入など、住宅購入にあたってはやるべきことが山ほどあります。ここで、住宅ローン控除の要件としてその年の12月31日まで引き続き住んでいることがあります。つまりそれを証明するために、世帯の住民票を12月31日までに新居に必ず移さなければならないのです。最初の確定申告で住民票が添付書類となるため、これをしていないとその年は住宅ローン控除を受けることが出来ません。引っ越しのスケジュールは早めに立てるようにしましょう。
・適用可能な住宅面積に注意する
住宅ローン控除は良質な住宅の普及を目的としているため、控除対象となる下限の面積が50平方メートル以上と定められています。だたし、この50平方メートルは登記上の面積であり、マンションの広告に載っている面積より若干小さくなります。マンション広告で50平米ギリギリの物件を購入しようとしている人は、この物件が住宅ローン控除の対象になるのか、必ず確認するようにして下さい。
・期間短縮型の繰上返済に注意
これは返済期間が15年程度の人に多い事例ですが、住宅ローンの利息を節約する方法として繰上返済というものがあり、これには期間短縮型と返済額軽減型があります。そして現在はインターネットからも気軽に繰上返済できるようになったため、以前より繰上返済する人も増加しています。ここでまとまったお金が入ったので、期間短縮型の繰上返済を行うと、利息は確かに節約できるのですが、返済期間が10年未満となってしまい、今後住宅ローン控除が受けられなくなってしまいます。現在の低金利を考えると、住宅ローン控除を受け続けた方が有利な場合もあります。
現在の低金利と住宅ローン控除の関係
先ほどの説明で、下手に繰上返済しないほうが有利と書きましたが、これを実際に検証してみたいと思います。現在の変動金利0.5%、住宅ローン控除の控除率1%で比較してみます。
借入額:2,000万円、返済期間:35年、変動金利0.5%で推移したと仮定した場合
毎月の返済額:51,917円 初年度の利息総額:98,795円 初年度の住宅ローン残高:19,475,791円(控除率が1%なので住宅ローン控除額19万円)
つまり、変動金利0.5%では初年度の利息総額よりも住宅ローン控除額の方が10万円弱多くなるため、繰上返済するよりも10万円弱を控除してもらった方が計算上は有利になります。ちなみにこの水準では、繰上返済するのは住宅ローン控除が終わってからが賢い方法です。
昔は控除率よりも住宅ローン金利の方が高かったため、繰上返済した方が得でしたが、住宅ローン金利と控除率の逆転現象が起こったため、無理に繰上返済する必要がなくなりました。この控除率は現在の所、2021年まで継続される予定ですが、もらい得になっているため見直される可能性もあります。
まとめ
住宅ローン控除はわかりにくい制度と言われますが、これを上手く活用するかどうかで、今後の資産形成にも大きく影響してきます。このコラムも多少内容が難しくなったかもしれませんが、具体例などを参考に有効活用して頂けましたら幸いです。
住宅ローン関連のコラム一覧
【目次:住宅ローンコラム】
8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)←今回のコラム
10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する
14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」
15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」
16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」
17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」
19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」
21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」
22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」
26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」
27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」
28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」
29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」
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