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コラム

住宅ローンを借りるのには、どれくらいの費用がかかるのか(中編)

前回の続き、今回は保証会社への保証料や火災保険料といった制度を解説します。これらの制度を理解していないと、住宅ローンの全体像が見えてきません。

お金

 

保証会社への保証料

 

そもそも保証会社への保証料は、何故支払う必要があるのでしょうか。

これは、お金の貸し借りをした時によく聞く、連帯保証人の役割を保証会社が担っているため、連帯保証人をお願いする費用と考えるとわかりやすいでしょう。

前回『住宅ローンを借りるのには、どれくらいの費用がかかるのか(上編)』でお話した手数料でも解説したように、通常の住宅ローンは保証会社への保証料を支払う必要があり、この金額がおよそネット銀行の取り扱い手数料相当になります。

また、銀行によっては保証会社への保証料を一括で支払えない人のために、0.2%程度を金利に上乗せして保証料相当とすることも出来ます。

この方法はわりと一般的で、こちらを使えば高い現金を支払う必要はなくなります。

保証会社への保証料は、返済期間に応じているので早期完済や期間短縮型の繰上返済をすれば、その不要になった期間の保証料は保証会社から返戻されます。

ただし相似比を使う返戻式なので、早期完済はともかく期間短縮型の繰上返済では期待するほどの保証料は返戻されません。

当初から繰上返済する予定がないのであれば、保証会社への保証料を支払い、繰上返済する予定があるのであれば金利に上乗せするのが賢い方法と言われています

 

 

なおこれは余談ですが、保証会社を利用しているかどうかは次回解説する「抵当権者」を見ればすぐにわかります。

メガバンクなどでは、「抵当権者」は必ず系列の保証会社になっています。

一方で、ネット銀行などでは「抵当権者」は銀行本体です。

「抵当権者」は自宅を競売したりする強い権限をもっていますが、この扱いに慣れているのは保証会社です。

そういう意味では、利用者が延滞などで返せなくなった時に、ネット銀行が適切な対応が出来るのか疑問に感じる部分があります。

 

 

火災保険料・地震保険料

 

火災保険料も2015年9月末までは、住宅ローンの返済期間に合わせて、例えば35年一括で加入することが出来ました。

しかし、自然災害が増加し長期の火災保険料率が算定困難となり、最長でも10年間に制限されました。

住宅ローン利用者は火災などが起こった時、火災保険金から住宅ローンを返済しなければならないため、火災保険には必ず加入する義務があります

しかし、長期で加入できた時は住宅ローンの返済期間と合わせ、そこで火災保険の加入問題は完結していましたが、最長が10年となってしまったため、10年ごとに火災保険に再加入しなければならなくなりました。

以下の例のように、10年ごとでも結構な金額が必要になるとともに、火災保険に再加入し忘れるという問題も考えられます。

銀行側の債権保全上のリスクが増すと同時に、加入者にも今までの長期割引が適用されないなど不利益が課されています。

 

建物保険金額2,000万円、家財保険金額1,000万円、延床面積100㎡が10年一括払いで70万円弱かかります(大手保険会社の例 場所:東京都)

 

また、5年ごとに更新する地震保険料も数万円ですが、更新ごとに値上がりしています。異常気象が続く中、自然災害に備える費用は増加の一途をたどっています。

 

少し長くなりましたので、このコラムはさらに次回へ続きます。

次回は登記関係などわかりにくい制度の解説になりますが、これらの制度を明らかにして住宅ローンにかかる費用を算出していきたいと思います。

 

住宅ローン関連のコラム一覧

 

【目次:住宅ローンコラム】

1:安心できる住宅ローンの借入限度額はどれくらいなのか

2:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(上編)

3:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(中編)←今回のコラム

4:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(下編)

5:住宅ローンの流れを、マンションと注文住宅で比較してみる

6:住宅ローンを組んだら生活保障の見直しをしましょう!

7:住宅ローン控除を最大限活用する(前編)

8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)

9:一部繰上返済制度を活用して総返済額を減らす

10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する

11:最初のローンが肝心、借り換えをお勧めできない理由

12:住宅ローンの返済が苦しくなったら迷わず相談

13:個人信用情報機関を正しく理解しましょう

14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」

15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」

16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」

17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」

18:「住宅ローンの新規では変動と固定どちらが多いのか」

19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」

20:「親の贈与を受ける場合のメリットとデメリット」

21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」

22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」

23:「住宅ローン審査もアプリの時代へ」

24:「ネット銀行の審査が一般的な銀行と違う理由」

25:「ライフプランに合わせられる、新生銀行の住宅ローン」

26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」

27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」

28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」

29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」

30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」

31:「銀行が勧める、短期固定金利の住宅ローンの危険性」

32:「イオンをよく利用する人はイオン銀行が便利でお得?」

33:「ゆうちょ銀行の住宅ローン利用には注意が必要」

34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」

35:「ライフプランに合わせた住宅ローンの返済額の作り方」

36:「住宅ローンを抱えて離婚したらどうすればいい?」

37:「住宅ローンを組む事が不安な方にオススメの制度」

38:「被災された方は災害復興融資の利用を(前編)」

39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」

40:「預金連動型住宅ローンの注意点(前編)」

41:「預金連動型住宅ローンの注意点(後編)」

42:「3月の住宅ローン金利、長期固定金利が軒並み低下」

43:「住宅ローンを組む時に、安易な収入合算には要注意」

44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」

45: 「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」

46:「フラットの買取型と保証型の違い、何がどう違うのか」

47:「フラットが9割超融資で金利を引き上げた意味」

48:「三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点」

49:「余分なカード信用枠は住宅ローン審査にデメリット」

50:「住宅ローン利用者の裾野を広げた「全国保証」とは?」

51:「財務省信頼失墜!増税延期と住宅ローン金利の深い関係」

52:「50年型住宅ローンのメリット・デメリット」

53:「あなどれない、JAバンクの住宅ローン」

54:「住宅ローンの返済には、ボーナス併用払いを利用すべきか」

55:「世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン」

56:「2018年4月の住宅ローン金利は低下予想」

57:「フラット35利用者への借り換えを勧誘することは禁止されています」

58:「女性専用住宅ローンを最大限活用しましょう」

59:「職業の特性によって、住宅ローンの選び方を決める方法」

60:「転勤や借り換えした時の住宅ローン控除の再適用について」

61:「2018年4月の住宅ローン金利と5月の見通し」

62:「フラットの団体信用生命保険と民間の生命保険、どちらがお得?」

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