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住宅ローンキーワード:第12回・繰上返済

住宅ローンを契約する中で、わかりにくい言葉を解説する住宅ローンキーワード。

今回は最近よく聞く、繰上返済について解説していきます。

お金の使い道

繰上返済のメリットと種類

住宅ローンは長期にわたる返済のため、返済途中に数百万円程度の、まとまった資金が手に入ることもあります。

このような資金は、基本的には万が一に備えて、普通預金などに預けておくべきですが、既に普通預金にも充分な残高がある場合は、住宅ローンの残高を減らすために充当するのも有効です。

昔は、全額を返済して、完済することしか認められていなかったのですが、最近は繰上返済をして、住宅ローンの残高を少しでも減らす方法が、当然の権利として認められています。

 

なお、この繰上返済ですが、繰上返済することによって住宅ローン残高が減少するため、当初の住宅ローン残高の返済期間をどのようにするかによって、以下の2種類に大別されます。

期間短縮型

・・・この繰上返済方法は、繰上返済して返済期間が短くなった後は、その短くなった返済期間で返済を継続するものです。
元金部分にかかる利息がそのまま節約できるため、繰上返済による利息軽減効果は大きく、返済期間も短縮されますが、返済額は繰上返済前と同じ返済額となります。

返済額軽減型

・・・この繰上返済方法は、繰上返済をしますが、返済期間は当初の返済期間を維持するというのが特徴です。
元金部分は減少するため、当初の返済額に比べて、返済額は減少します。
この繰上返済方法が有効なのは、毎月の返済額が多いときに、親族などから贈与を受けて返済額軽減型の繰上返済をし、毎月の返済額を減らしたいときなどです。

 

どの程度減少するのか、シミュレーション

前提条件:全期間固定金利で金利は1%、借入金額は3,000万円、返済期間は35年、元利均等返済で比較

元利均等返済 毎月の返済額:84,685円、総返済額:35,567,700円

 

5年後に300万円、期間短縮型の繰上返済をした場合

(計算上の元金充当額は2,941,035円)

元利均等返済 毎月の返済額:84,685円、総返済額:34,613,225円、短縮された返済期間:3年10か月

総返済額が954,475円、減少しました。元金充当額ほど総返済額が減っていないのは、残りの元金部分に利息がかかっているからです。

 

5年後に300万円、返済額軽減型の繰上返済をした場合

元利均等返済 毎月の返済額:75,036円、総返済額:35,094,060円、返済期間は変わらず

毎月の返済額が9,649円減少するとともに、総返済額も473,640円減少しました。総返済額の減りは緩やかですが、毎月の返済額が約1万円低下しているのは、大きいと言えます。

 

繰上返済の手数料

最近はネットバンキングが普及し、自分の住宅ローン残高も、自宅で確認できるようになりました。

金融機関としても、ネットバンキングで顧客が自分で繰上返済をする場合、特段のコストはかかりません。

一方、金融機関の窓口は、金融機関全体の動きとして、支店を統合し、顧客を出来るだけネットバンキングに誘導する流れとなっています。

これを受けて、ネットバンキングで自分で繰上返済をする場合の手数料は無料、金融機関の窓口でする場合は5,400円(税込)~10,800円(税込)程度の手数料がかかるところが多いようです。

 

まとめ

ここまで、繰上返済について解説してきました。

1つ注意して欲しいことは、繰上返済に夢中になりすぎて、普通預金の残高が少なくなり、不測の事態に対応できなくならないようにすることです。

上記で述べたように、ネットバンキングでは繰上返済の手数料もかからないため、住宅ローン残高を減らす事に、夢中になってしまう人が存在します。

 

このような時に不測の事態が生じた場合、当座の資金がなく、金利が高いカードローンなどで、手当てせざるを得なくなってしまった人がいるのも事実です。

このような事態になると、住宅ローンとカードローンの返済が重なり、下手をすると、住宅ローンの延滞にもつながりかねません。

繰上返済する時は、必ず普通預金に数百万の流動性があることを確認の上、慎重な判断で行うことをお勧めします。

 

 

 

 

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