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住宅ローン返済中の災害対策
平成30年7月豪雨は、西日本を中心に甚大な被害を及ぼし、住宅も損傷しました。
住宅ローンを完済していれば、新たに住宅を再建したり、補修したりする方法が考えられますが、住宅ローン返済中の場合はどうなるのでしょうか。
今回は、住宅ローン返済中、災害により、住宅が損傷した場合の対応策を考えます。
住宅ローン返済中の被害は火災保険で担保
まず、住宅ローンを組むときには、火災保険に加入することが必須となっています。
これは、貸し手である金融機関が、担保となっている住宅が損傷したときの損失を、火災保険金で賄うためです。
そのため、金融機関からは、住宅ローンの残債以上、住宅の時価額未満の火災保険に加入することが求められます。
この条件に合致する、火災保険に加入してもらうことで、金融機関は全額を回収出来ます。
その火災保険ですが、2015年9月末までは、住宅ローンの返済期間に合わせて、35年間などの一括契約が出来ました。
火災保険料は、長期係数といって、期間が長くなればなるほど、火災保険料の割引率が高くなる制度だったので、
ほとんどの方は住宅ローン契約時に、火災保険の長期契約を締結することで、火災保険の掛け忘れを防ぐことが出来ました。
しかし、損害保険各社が、日本の災害リスクを長期に渡って算出することが不可能として、
2015年10月以降は最長契約期間が10年間に制限され、以後は更新する制度に変更になりました。
同時に、火災保険料も3~5%値上げされました。
(火災保険料は来年にも再値上げされるとの報道もあります)
最長10年更新になったことで、火災保険料が実質的に値上げになったことに加え、
火災保険料の掛け忘れが生じるリスクが出てきました。
最初の契約の時は、きちんと火災保険を契約しても、更新時は必ず漏れが生じます。
一般的な相場として、30坪程度の新築戸建の場合、10年契約で20万円弱の火災保険料が必要になります。
しかし、家計のライフプラン的に、一度に20万円弱を用意できない場合もあります。
そして不幸にも、火災保険を付保していない状態で災害にあった場合、住宅ローンがそのまま残り、
住宅を再建しようにも2重ローンとなり、住宅の再建が進まない要因になります。
火災保険対象外のリスクにどう対処すべきか
平成30年7月豪雨は、火災保険をきちんと付保していれば、住宅ローンは火災保険金により完済され、従前の住宅ローンは残りません。
しかし、火災保険で保障されない、地震・噴火・津波を原因とする、火災・損壊・埋没・流失に遭遇した場合は、どうすればよいのでしょうか。
これを解決するのが地震保険です。
しかし、地震保険の補償額は、法律によって、主契約である火災保険の保険金額の30~50%の範囲で、
かつ居住用建物の場合は、上限が5,000万円と定められています。
また、5年ごとの更新しかなく、地域によって保険料に差があるため加入率は低く、東海地方では東海地震などが意識されているものの、
愛知県で40.3%、岐阜県で34.6%、三重県で27.9%などとなっています。(2016年度、全国平均は30.5%)
ただし、火災保険対象外のリスクであっても、住宅ローンを完済する方法は存在します。
現在は方法が限られますが、三井住友銀行が提供している、自然災害時返済一時免除特約付き住宅ローン(残高保障型)で住宅ローンの50%を免除してもらい、
残りを火災保険の50%に制限されている、地震保険金で支払う方法です。
この三井住友銀行の自然災害特約に関しては、このコラムの22回目で詳しく解説していますので、ご覧頂けたらと思います。
住宅再建には災害復興住宅融資を利用する
ここまでは、従前の住宅ローンがどうなるか解説してきましたが、住宅が損傷している場合、住宅を再建するか補修する必要があります。
ここで活用して頂きたいのが、住宅金融支援機構が提供する、災害復興住宅融資です。
再建の場合は、り災証明書が全壊である必要がありますが、申出書を提出することで、大規模半壊や半壊でも融資を受けられる可能性があります。
(補修の場合はり災証明書の程度は問いません)
災害復興住宅融資の特徴は、政府からの補給金が提供されているため、極めて低い利率で融資を受けることが出来ることです。
ちなみに6月の全期間固定金利は、基本融資額が年0.55%、特例加算額が年1.45%です。また、融資手数料も無料です。
災害復興住宅融資に関しても、38と39回目のコラムで詳しく解説していますので、ご覧頂けたらと思います。
まとめ
災害が発生して、住宅再建や補修までたどり着くには、様々な困難が待ち受けています。
第一歩を踏み出すのは容易ではありませんが、その第一歩を踏み出して頂けることを願っています。
住宅ローンについてのコラム一覧
10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する
14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」
15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」
16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」
17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」
19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」
21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」
22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」
26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」
27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」
28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」
29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」
30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」
34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」
44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」
45:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」
48:「三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点」
51:「財務省信頼失墜!増税延期と住宅ローン金利の深い関係」
54:「住宅ローンの返済には、ボーナス併用払いを利用すべきか」
55:「世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン」
57:「フラット35利用者への借り換えを勧誘することは禁止されています」
59:「職業の特性によって、住宅ローンの選び方を決める方法」
60:「転勤や借り換えした時の住宅ローン控除の再適用について」
62:「フラットの団体信用生命保険と民間の生命保険、どちらがお得?」
66:「2018年(平成30年)5月の住宅ローン金利と6月の見通し」
68:「住宅ローンキーワード:第2回・抵当権連帯債務者と連帯保証人の違い」
71:「住宅ローンキーワード:第3回・住宅ローンキーワード、今回は保証会社」
76:「住宅ローン返済中の災害対策」←今回のコラム
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