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コラム

世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン

 

「リコースローン」と「ノンリコースローン」

 

住宅ローンについて、詳しく調べたことがある方なら、一度は耳にしたことがある言葉かも知れません。日本の住宅ローンはリコースローン、世界の住宅ローンはノンリコースローンに近いと言われています。

この違いを理解しておくと、住宅ローンを借りる時に、覚悟のようなものが出来ると思います。

少し難しいかもしれませんが、住宅ローンに詳しくなるためにお付き合い頂けますと幸いです。

 

地球儀

 

 

リコースローンとノンリコースローンの違い

リコースローンを日本語訳すると、「遡及型融資」と呼び、融資を受けた債務者は延滞などで支払いが困難になっても、最後の最後まで融資を返済する義務を負います。

一方、ノンリコースローンとは日本語訳すると、「非遡及型融資」と呼び、債務者は支払いが困難になったら、担保などの責任財産を処分すれば、それ以上の返済義務を負いません。

日本では、住宅ローンも含めてリコースローンが主流ですが、海外ではノンリコースローンに近い形態が主流になっており、日本の企業向け融資などではノンリコースローンに近い形態の融資も採用され初めています。

 

世界の住宅ローンはノンリコースローンに近い形態

リコースローンとノンリコースローンについて比較したサイトなどを拝見すると、日本はリコースローン、世界はノンリコースローンと断定しているものが見受けられますが、正確には違います。

世界の住宅ローンも含めた融資は、日本と同じように責任財産を処分しても、なお債務が残る場合、最後まで返済する義務は残るとしています。

しかし実際には、金融機関が債務免除に応じるなどして、担保などの責任財産に返済義務が限られているのが実態です。

このように、世界の住宅ローンがノンリコースローンに近い形態であることから、債務者は最低限の財産を元手に再出発できる余地が生まれます。

但し、アメリカなどはクレジットカード社会であるため、延滞や債務免除などでクレジットスコア(クレジットカードの信用偏差値)が大幅に低下し、新しく自宅を賃貸しようとしても断られることが多くなります。

 

日本の住宅ローンは完全なリコースローン

一方で、日本の住宅ローンは完全なリコースローンです。

即ち、担保である責任財産を処分してもなお債務が残っている場合、無担保の債務として返済する義務を負います

債務者が自己破産して、裁判所が破産免責(債務が無くなる)の決定をしない限り、無担保の債務を返済し続けなければなりません。

実際の所、担保である責任財産も無くなった債務者が、無担保の債務を誠実に返済し続けるのは難しいのが事実ですが、日本では債務免除で無税償却するには厳しい要件があることから、金融機関側も簡単には債務免除しません。

従って、債務を抱えたまま生活することになります。

 

住宅ローンを借りる際は

このように、日本の住宅ローンは完全なリコースローンであるため、延滞などで支払いが困難になっても、担保などの責任財産を処分して、終わりという訳ではありません。

現在は、景気が良いこともあり、都心部などでは担保などの責任財産を処分して利益が出ている事例も散見されますが、ほとんどの物件は担保などの責任財産を処分しても評価割れするでしょう。

評価割れしても、ノンリコースローンならそれで終わりますが、日本の住宅ローンは完全なリコースローンであるため、評価割れした債務を返済する義務が残るのです。

この金額は千差万別であるため一概に言うことは出来ませんが、残った無担保債務を根気よく返済し続けるのは、相当の覚悟が必要です。

そういう意味でも、住宅ローンはいくら借りられるかではなく、いくらならきちんと返せるかをしっかり計算し、物件ありきの無理な借り入れは禁物です

このコラムで、日本の住宅ローンが債務者にとって厳しい制度であることを理解し、それに準じた考えや行動を取っていただけることを願います。

 

 

【目次:住宅ローンコラム】

1:安心できる住宅ローンの借入限度額はどれくらいなのか

2:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(上編)

3:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(中編)

4:住宅ローンではどれくらいの費用がかかるのか(下編)

5:住宅ローンの流れを、マンションと注文住宅で比較してみる

6:住宅ローンを組んだら生活保障の見直しをしましょう!

7:住宅ローン控除を最大限活用する(前編)

8:住宅ローン控除を最大限活用する(後編)

9:一部繰上返済制度を活用して総返済額を減らす

10:平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向を予測する

11:最初のローンが肝心、借り換えをお勧めできない理由

12:住宅ローンの返済が苦しくなったら迷わず相談

13:個人信用情報機関を正しく理解しましょう

14:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(前編)」

15:「平成30年(2018年)は住宅購入最後のチャンス(後編)」

16:「共働き夫婦におすすめの住宅ローンの「デュエット」とは?」

17:「変動金利と固定金利の良いとこどりのミックスプランとは?」

18:「住宅ローンの新規では変動と固定どちらが多いのか」

19:「住宅ローンを使って建てた家を勝手に貸してはダメな理由」

20:「親の贈与を受ける場合のメリットとデメリット」

21:「長期優良住宅の家づくりをするときに適した住宅ローン」

22:「住宅ローンを組む時に「自然災害特約」は付けるべきか」

23:「住宅ローン審査もアプリの時代へ」

24:「ネット銀行の審査が一般的な銀行と違う理由」

25:「ライフプランに合わせられる、新生銀行の住宅ローン」

26:「変わり始めた住宅ローン勢力図。メガバンクVS地方銀行」

27:「変動金利の金利上昇ルール「5年ルール」と「125%ルール」とは」

28:「日銀展望レポートから見る、今後の住宅ローン金利動向」

29:「フラットは何故どこでも借りられるのか、その構造を理解しよう」

30:「2月の住宅ローンは固定金利が大幅上昇!今後の行方は?」

31:「銀行が勧める、短期固定金利の住宅ローンの危険性」

32:「イオンをよく利用する人はイオン銀行が便利でお得?」

33:「ゆうちょ銀行の住宅ローン利用には注意が必要」

34:「世界同時株安NYダウは過去最大の下落!住宅ローン金利に与える影響は?」

35:「ライフプランに合わせた住宅ローンの返済額の作り方」

36:「住宅ローンを抱えて離婚したらどうすればいい?」

37:「住宅ローンを組む事が不安な方にオススメの制度」

38:「被災された方は災害復興融資の利用を(前編)」

39:「被災された方は災害復興融資の利用を(後編)」

40:「預金連動型住宅ローンの注意点(前編)」

41:「預金連動型住宅ローンの注意点(後編)」

42:「3月の住宅ローン金利、長期固定金利が軒並み低下」

43:「住宅ローンを組む時に、安易な収入合算には要注意」

44:「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(前編)」

45: 「財形住宅融資制度について、わかりやすく解説します(後編)」

46:「フラットの買取型と保証型の違い、何がどう違うのか」

47:「フラットが9割超融資で金利を引き上げた意味」

48:「三井住友信託銀行の住宅ローン自動返済、メリットと注意点」

49:「余分なカード信用枠は住宅ローン審査にデメリット」

50:「住宅ローン利用者の裾野を広げた「全国保証」とは?」

51:「財務省信頼失墜!増税延期と住宅ローン金利の深い関係」

52:「50年型住宅ローンのメリット・デメリット」

53:「あなどれない、JAバンクの住宅ローン」

54:「住宅ローンの返済には、ボーナス併用払いを利用すべきか」

55:「世界標準の住宅ローンとは?リコースローンとノンリコースローン」←今回のコラム

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